【比較】RDBとNoSQLの違いは?特徴やシェアの差を紹介
現在DBとしてRDBが使用されることがメインで、多くの企業がOracle DBやMySQLといったRDBMSを活用しています。
しかし、データ量の増加や多種多様なデータを扱うことができるDBとして、NoSQLが注目されています。
今回はそのRDBとNoSQLの違いについて解説していきます。
DBランキングを元に現状のDBのシェア状況についても触れていきます。
参考:https://db-engines.com/en/ranking
目次
RDBとは
まずRDBとは、リレーショナルデータベースのことで、データベースの種類の中の一つです。ちなみにそれを管理するシステムをRDBMSと言います。
4つあるデータベースの中で、行と列からなる表形式で表せるデータベースモデルがRDBです。
データの一貫性を保つためには、最適なデータベースで、SQLを使用しデータの読み書きをするため複雑なデータを検索・管理しやすい特徴もあります。
現状は最も使用されているデータベースがRDBであり、Oracle DBやMySQLなど有償のものから無償のものまで多くのRDBMSが企業に使用されています。
RDBやそれを管理するRDBMSについてもっと詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
【RDBMSとは】特徴や種類を初心者向けに分かりやすく解説したRDBMS入門書
DBの種類として最も一般的であるRDB。そしてそれを管理する『RDBMS』。今回はそのRDBMSとは何か?特徴やRDBMSの種類など解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
RDBのメリット
- データの一貫性
- 更新コストの削減
- 複雑なデータ検索
- 豊富な運用実績
RDBの大きな特徴は、データの一貫性を保つことができ、複雑なデータにも対応できる点があります。
そして多くの企業が利用しているアドバンテージがRDBにはあります。
さらに表形式の複数のデータを組み合わせ、管理するため更新コストの削減にもなります。
現状、データベースとしてOracle DBやMySQLをはじめSQLserverやPostgreSQLなど多くのRDBが、使用されておりDBのシェアとして多くがRDBとなっている状況です。
RDBのデメリット
- 処理速度が遅い
- 柔軟性が低い
- 拡張性が低い
データ量が膨大になってくると処理速度が遅くなってしまいます。
また表形式で表される構造化データの管理がメインで、音声や映像といった非構造化データへの対応には向いていません。
さらにRDBの場合、基本メインサーバー1台のみでの管理する設計となっており、データの容量が増えた時にサーバーを増やして対応する(スケールアウト)ということが出来ず、サーバーそのものを強化する(スケールアップ)によって対応しなければなりません。
その為拡張するための技術的コストや費用コストが発生してしまうというデメリットが発生します。
RDB上位10位の一覧
現時点でRDBのシェアは多いですが、実際にどのようなRDBMSが使用されているのか?RDBのトップ10を紹介します。
順位 | RDB | DB全体での順位 |
1 | Oracle DB | 1 |
2 | MySQL | 2 |
3 | SQLserver | 3 |
4 | PostgreSQL | 4 |
5 | IBM DB2 | 6 |
6 | SQLite | 9 |
7 | Access | 11 |
8 | MariaDB | 12 |
9 | Teratada | 14 |
10 | Hive | 15 |
RDBのトップ10はこのようになっています。
NoSQLも含むデータベース全体の順位と比較しても大差はないので、RDBが多く使用されていることが分かります。またトップ4に関しては、RDBとして見ても全体で見ても順位差はなく人気の高さが窺えます。
このようにRDBMSは、非常に人気の高いデータベースとなっています。
NoSQLとは
続いてNoSQLとは何か?について解説していきます。
NoSQLは、RDB同様にデータベースの種類の1つで、NoSQLの『No』は『Not only』という意味があり、基本的にはSQLを使用せずデータにアクセスするデータベースを指します。
ただ最近では、SQLが使用できるNoSQLも出てきていますので、ざっくり言うとRDB以外のデータベースです。
NoSQLは、ビッグデータという技術を支えるデータベースとして、台頭してきており、膨大で多種多様なデータに対応できるデータベースとしての特徴があります。
またNoSQLは、さらにその中から大きく4つに分類でき、それぞれに特徴があります。
- キーバリュー型(KVS)
- カラム型
- ドキュメント型
- グラフ型
NoSQLとして有名なのは、『MongoDB』というドキュメント型のNoSQLで、NoSQLとして最も使用されているデータベースです。
NoSQLについてもっと詳しく知りたい方は、こちらを参考にして下さい。
【NoSQLとは】特徴や種類を初心者向けに分かりやすく解説するNoSQL入門書
DBの種類として『NoSQL』というものが徐々に人気を集めています。今回はこのNoSQLについて、NoSQLとは何か?特徴やNoSQLの種類など解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
NoSQLのメリット
- 高速な処理能力
- 柔軟性の高さ
- 拡張性の高さ
NoSQLは、ビッグデータを支えるデータベースで、膨大なデータ量を処理するのに最適な設計になっています。
そして構造化データだけでなく非構造化データにも対応でき、多種多様なデータを処理できる柔軟性が魅力です。
さらに複数のサーバーに拡張して対応できるため、データ量が多くなった時でもサーバーを増やし(スケールアウト)、容易にパフォーマンスを維持・向上させることが出来ます。
NoSQLとしては、オープンソースでスキーマレスなMongoDBやキーバリュー型NoSQLであるRedisが人気で、データベース全体でみても上位にランクインしています。
NoSQLのデメリット
- データの一貫性が保てない
- 検索性が低い
NoSQLは、設計上、高速な処理を実現することに重きを置いているため、データの一貫性という点では仕様上緩くなっています。
また基本的にはSQLを使用しないため、複雑なデータの検索には向いてはいません。
NoSQL上位10位の一覧
現時点ではNoSQLのシェアは多いとは言えませんが、実際にどのようなNoSQLが使用されているのか?NoSQLのトップ10を紹介します。
順位 | NoSQL | DB全体での順位 |
1 | MongoDB | 5 |
2 | Redis | 7 |
3 | Elasticsearch | 8 |
4 | Cassandra | 10 |
5 | Splunk | 13 |
6 | DynamoDB | 16 |
7 | Solr | 20 |
8 | Neo4j | 21 |
9 | HBase | 22 |
10 | Cosmos DB | 25 |
NoSQLのトップ10はこのようになっています。
データベース全体のトップ10には、NoSQLとして4つが入っています。
またNoSQLで見た順位とデータベース全体で見た順位を比較すると、やや順位差はありますので、RDBMSと比べるとまだまだNoSQLは広く普及しているという訳ではなさそうです。
RDBとNoSQLの違い
ここまでRDBとNoSQLについて解説してきましたが、それらを元にRDBとNoSQLの違いについて解説していきます。
RDBとNoSQLのデータベースとしての特徴の違いは、大きくこの4つです。
- データの一貫性
- データの検索性
- 処理速度
- 柔軟性
- 拡張性
RDBとNoSQLのデータの一貫性の差
データの一貫性においては、RDBの方が優れています。
RDBはACIDという特性に基づいたトランザクション処理を行っており、このトランザクション処理によりデータの一貫性が保たれています。
このトランザクション処理の特徴は、処理において『完全に実行される』もしくは『完全に実行されない』という保証がされている点です。
その為、データに矛盾が生じることはなく一貫性が保たれる形となります。
反対にNoSQLの場合は、このトランザクション処理に制限があります。
理由としては、データの一貫性という面よりも処理能力を向上させる方に重きを置いているためそのようになっています。
結果としてNoSQLよりもRDBの方が、データの一貫性においては優れている結果になっています。
RDBとNoSQLのデータの検索性の差
データの検索性においてもRDBの方が優れています。
ここでの差はSQLを使用するかどうかの差が影響しています。
RDBはSQLを使用し、データにアクセスするため複雑なデータへの対応が優れています。
反対にNoSQLは、基本的にSQLを使用しないため複雑なデータ処理には適しておりません。
結果、データの検索性においてはNoSQLよりもRDBの方が優位です。
RDBとNoSQLの処理速度の差
処理速度においては、NoSQLの方が優れています。
NoSQLは、データの一貫性を保つために必要なトランザクション機能を制限し、より構造をシンプルにすることで処理能力を向上させています。
またそれにより、データ量が増えてきたときにサーバーを増やしての対応(スケールアウト)が可能なため、RDBよりも高速な処理を実現できます。
反対にRDBは、データの一貫性を保つためのトランザクション機能があり、さらにはスケールアウトが出来ないためNoSQLよりも処理速度は劣ってしまいます。
RDBとNoSQLの柔軟性の差
柔軟性においては、NoSQLの方が優れています。
NoSQLは、種類によっても異なりますが、スキーマレスのものがあったり、JSON形式のドキュメントをそのまま管理出来たりとデータの格納・管理の柔軟性が非常に高いです。
その点、RDBでは表形式で表される構造化データの対応がメインになっており、データへの柔軟性が高いとは言えません。
そのため、RDBよりもNoSQLの方が柔軟性としては優れています。
RDBとNoSQLの拡張性の差
拡張性という面では、NoSQLの方が優れています。
NoSQLでは、データ量が増えた時にスケールアウトというサーバーを増やして性能を維持・向上させることが容易に出来ます。
逆にRDBの場合、基本的にはメインサーバー1台からの書き込みしか許可されておらず、NoSQLで出来るスケールアウトが出来ません。
そのため性能を上げるためにはスケールアップというサーバー自体の性能を強化する必要があります。
これには技術的なコストや費用コストが発生してしまいます。これらより拡張性では、RDBよりもNoSQLの方が優れています。
RDBとNoSQLのシェア比較
続いて、RDBとNoSQLのシェアの比較をしていきます。
先ほどRDBとNoSQLのそれぞれのトップ10を紹介した通り、現状RDBの方がシェアとしては大きいことは分かったとは思います。
ここでは、実際どれくらいの差があるのか?数字をまとめたものを紹介していきます。
シェア率 | DB数 | |
RDB | 74.3% | 141 |
NoSQL | 25.7% | 217 |
データベースのシェア率は、RDBが74.3%でNoSQLが25.7%となっており、データベース数は、全体の358に対して、RDBが141でNoSQLが217となっています。
データベース数で見るとNoSQLの方が多いですが、シェア率で見ると圧倒的にRDBの方が多いことが分かります。
やはりRDBの方が圧倒的に人気があり、使用されている結果となっています。
ただNoSQLのトレンド変化を見ると、種類ごとで差はあるもののRDBと比較して伸びている傾向にあるため、今後NoSQLのシェアが伸びてくる可能性は大いにあるでしょう。
最後に
RDBとNoSQLの違いについて紹介してきましたが、もちろんそれぞれにメリット・デメリットがあり、企業としては用途に合わせてDBを選択していく必要があるでしょう。
またNoSQLは基本SQLを使用しませんが、その中でもSQLが使用できるものが出てきていたり、RDBでもNoSQLの要素を取り入れてバージョンアップしているものもあります。
現時点ではそれぞれに特徴の差があるものの、今後は大きく変化をしてくる可能性があります。
RDBとNoSQL含め、DB全体で最新の動向をチェックしていくようにしましょう。