ITエンジニアの収入を搾り取る不必要なSES企業の見抜き方!年収の最大化を目指すためには
過去にSES企業に所属しクライアント先へ業務委託で派遣された実績を持ち、さらには別会社のSES企業で内部の業務に携わっていた経験のある私が、SESビジネスの実態を解説していきます。
すでに多くの方は知っていると思いますが、SESビジネスはIT業界では一般的に行われてはいるものの、実は非常に深い闇が存在しているのです。
もしこれについて知らないのであればこれを機にしっかりとチェックしておきましょう!
そしてその闇を潜り抜けながら収入を最大限獲得できるITエンジニアを目指しましょう。
目次
SESとは?
『System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)』の略称で一般的にSESと呼ばれています。
ざっくりSESとは何か?と言いますとビジネスモデル的には派遣のようなものをイメージしてもらうと分かりやすいです。
そして派遣っぽいビジネスの中で法律的に派遣と言えるものが派遣で、言えないものはSESになります。
大体この説明で問題はないですが、実態を少し知っている方の中には混乱する人もいるかもしれないので、もう少し正しく説明すると
業務委託契約の一種であり、IT人材をメインに技術力や労働力を提供し、報酬を受け取るサービス・契約形態です。
では派遣とはどう違うのか具体的なものを少し紹介します。
SESと派遣の違いは?
SESと派遣のビジネスモデルは非常に似てはいますが、厳密には違いますので、それぞれ出来ること出来ない事などの違いがあります。
具体的にあげられるものとして代表的なのは下記3つがあります。
- 指揮命令権の違い
- ビジネスをする上での免許の必要性
- 2重派遣の可否
それぞれ解説していきます。
まずSESと派遣では指揮命令権が違います。指揮命令権とは、要は業務上の指示にあたります。
ではどう違うかと言いますと、SES契約の場合には派遣元に指揮命令権があり、派遣契約の場合は、常駐先(クライアント企業)に指揮命令権があります。
ここは非常に重要で、違反すると業務停止になる可能性もあります。実際に、これに違反しSESビジネスから撤退している企業もあります。
その為ここはきっちり把握しておかなければならない違いになります。
その他の違いですと派遣ビジネスをするためには、企業は派遣免許を取る必要がありますが、SESの場合は特に免許を取ることなくビジネスを行う事が出来ます。
また、派遣の場合は2重派遣は禁止されておりますが、SESの場合は紹介された人材をさらに別の企業に紹介することが可能となっています。
もちろんその他にも派遣ビジネスにしかないルールであったり、逆にSESにしかないルールであったりとSESと派遣では多くの違いがあります。
いくらビジネスモデルが似ているとはいえ多くの違いがあり、それぞれメリット・デメリットはありますのでしっかりと調べて選択するようにしましょう。
それではもう少しSESの実態について解説していきます。
SESビジネスの実態
現在日本には、10,000社以上のSES企業があると言われています。
日本のIT企業数は、43,000社と言われていますので、約1/4がSES企業であるということになります。
多いかどうかは正直人それぞれではありますが、私は多いように感じます。また最近はコロナ禍であっても何社も新たにSES企業が登場してきています。
やはり、日本のITエンジニアの低年収の原因になっている理由に『IT企業勤め』というものがありますので、増えすぎることはあまり良くないのではないかと思います。
まだ優良なSES企業であれば良いですが、中には無駄なSES企業も多くいます。
この闇のSES企業が増えることだけは、IT業界では避けなければならないと思っています。
またSESビジネスには、偽装請負という問題もあり、指揮命令を守っているかどうか非常にグレーな部分も多々見受けられるのが現状です。
必要悪ともいわれるSES企業ですが、SESビジネスは質や量ともに改善されるべきものだと私は思っています。
ただ先ほども言ったように優良なSES企業と闇のSES企業に分かれるという事はきちんと理解しておきましょう。
それでは闇のSES企業とはどんな特徴があり、どう見分けるのが良いのかを解説していきます。
収入を搾取されないために無駄なSES企業の見分け方
ITエンジニアが年収をしっかり得るためにも優良なSES企業かどうかを見分ける必要があります。
ではどう見分けるのかを解説していきますが、その前に無駄なSES企業とはどんな企業なのかを解説します。
無駄なSES企業とは
無駄なSES企業とはどういったSES企業なのかというと、ただ間に入るだけのSES企業。つまり案件や人材といった情報を上から下へ(下から上へ)流すだけでマージン(紹介料)を得ているSES企業です。
この無駄なSES企業が間に入ることで、余計なマージンが発生しその分ITエンジニアの報酬は減っていきます。
たしかにこの無駄なSES企業がなければ、そもそも上と下の企業は繋がらなかったという見方も出来るかもしれませんが、それでも私は無駄だと思います。
これまでの経験談として、無駄なSES企業の存在によって、上の会社を知っているにも関わらず、わざわざ介さないといけないという事は多々発生してしまっていました。
つまり、無駄なSES企業がいなくてもいずれ繋がっていた可能性は高いですし、無駄なSES企業は案件を探す営業の邪魔をしているようなものです。
しかも、無駄なSES企業は自社で人材を抱える訳でもなければ、案件を抱える訳でもないので何のリスクも抱えていません。他社がお金と時間をかけて獲得した人材と別の他社がお金と時間をかけて獲得した案件とをお金と時間を掛けずにつないでいるのです。
まとめると無駄なSES企業とは、リスクを抱えずPCのみを抱え、お金と時間も最低限しか使わず、本来ITエンジニアの収入になっていたであろうお金を貪っている企業です。
ITエンジニアは、こういった企業につかならない必要があります。
無駄なSES企業の見分け方
では、どうやってこの無駄なSES企業を見分けるのかを解説していきます。
正直言うと正確に見分けることは難しく、可能性を下げるという手段にはなりますが、無駄なSES企業の省き方を解説していきます。
無駄なSES企業かどうか判断するためには、その企業のコーポレートサイトをチェックすることがまず第一にやるべきことです。
ちなみにコーポレートサイトに掛かれている主要取引先はあてにならないので、基本無視して良いです。むしろそこに騙される人が多いので無視をしましょう。
ではコーポレートサイトのどこをチェックするのかを紹介します。
- 従業員数
- 設立年月日
- 案件の掲載(人材募集欄)
- 派遣免許(尚)
従業員数のチェック
SES企業で少人数規模の企業は、無駄なSES企業の可能性が高いです。
人数が少ないと割けるリソースも限られてきますので、エンドユーザー企業からの案件を獲得したり、人材を獲得したりという時間が無く、結果間に入る事だけに注力しています。
設立年月日のチェック
また関係ない場合もありますが、設立年月日が浅い企業も注意が必要です。
設立年月日が浅いという事は、実績が少ないのでなかなか案件や人が集まりません。結果過去の人脈を頼るしかなく、無駄なSES企業の特徴である間に入るだけになってしまっています。
案件掲載ページの有無のチェック
先2つの『従業員数』や『設立年月日』はコーポレートサイトに書いていない場合も多々ありますが、案件を掲載しているページがあるか、つまり人材を募集しているページがあるかどうかという点は必ず見分けることができ、重要なチェックポイントです。
この人材を募集しているページは、お問い合わせページではなく、案件を掲載しているかどうかで判断してください。ただベタで貼られたような案件情報ではなく、プログラミング言語や職種で検索できたりとユーザーのことを考えられている仕様になっているかどうかが重要です
この案件情報が掲載されているリッチなページがないSES企業は、無駄なSES企業の可能性が高いです。
なぜかと言いますと、まずエンドユーザー企業に営業をかけて案件を獲得するためには人材情報の量は重要になってきますので、そもそもこの人材を獲得するために必要な案件情報掲載ページがなければ案件を獲得することは難しいでしょう。
また、今SES企業はどんどん増えてきており人材の獲得競争も激しくなっていますので、この案件情報掲載ページを用意して人材を獲得するためには、質の高い案件情報が重要になってきます。それが出来ているという事は、エンドユーザー企業から獲得した案件など質の高い案件がある可能性が高いです。
さらに、検索が出来たりとリッチなページを作成するには少なからず費用が掛かりますので、そういった投資ができる資金的な余裕がある可能性もあります。
こういった理由より、案件情報が掲載されているリッチなページがあるかないかで判断することも出来ます。
派遣免許の有無(尚)
SESと派遣は違うため、派遣免許が無くてもSESビジネスを行う事は出来ます。
ただ、非常に似ているビジネスモデルであるためSESビジネスをやっていても派遣免許を取得している企業も多くあります。
この派遣免許を取得するためには、条件をクリアする必要があるため、免許を持っていることでそれを証明することが出来ます。
要は、安心できるかどうかの判断材料になりますので、派遣免許の取得有無がコーポレートサイトに記載されているかどうかはチェックしても良いでしょう。
SES会社に所属している会社であれば選択権はあまりないと思いますので、難しいですが、案件を紹介してもらおうと考えているITエンジニアの方はぜひチェックしましょう。
優良なSES企業とは
SES企業が全て無駄なSES企業と勘違いされてもいけないので、反対に位置する優良なSES企業がどういった企業なのかも解説しておきます。
優良なSES企業の定義はを挙げるとするとこの2つです。
- 自社で社員を抱えて客先に提案するSES企業
- エンジニア(フリーランスなど)にエンド企業の案件を提案しているSES企業
それぞれが優良である理由を説明します。
自社で社員を抱えて客先に提案するSES企業
自社で社員としてITエンジニアを抱えて客先に提案するSES企業は、まだ優良なSES企業だと思っています。
なぜなら雇用するということは、稼げるかどうか分からないITエンジニアに先に投資をしていることになりますし、なにしろ雇用のリスクを背負っています。また、未経験者や経験の浅い社員にたいしてきちんと研修を行っているケースが多く、その期間は利益を得られないですが、それでも会社として成り立たせられているという実績があります。
特に未経験者にとっては、経験を積むための手段としては選択しやすいので、存在する意義は十分あるのではないでしょうか。
この理由を見る限り、無駄なSES企業ではないことが分かります。
ただ、会社の営業力が弱いと商流の深い案件しか獲得できないというパターンもあります。そうなると搾取されてしまいますので、そこは注意が必要です。
エンドユーザー企業の案件を多く獲得しているSES企業
エンドユーザー企業の案件を直接獲得している企業は優良なSES企業だと思います。
なぜなら、エンドユーザー企業の案件を直接獲得するのは簡単ではなく、営業力はもちろんこれまでの実績などが重要になってきます。
またエンドユーザー企業は、やり取りをするSES企業数を限定するケースも多々ありますので、全てのSES企業が全て同様な案件を獲得できる訳ではありません。
その為、その中でもしっかり案件を獲得できるSES企業は優良と言えるでしょう。
またITエンジニア側の収入を上げるためには、商流を減らすことは欠かせません。実際に商流に1社多く入るだけで、年間100万円以上差が出ることもざらにあります。
ITエンジニア側にも高い収入を提供できる環境を持っているSES企業ということになりますので、やはり優良であることが分かります。
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無駄なSES企業を減らすためには?
今やだれでも簡単に起業ができる世の中ということもあり、SES企業が今もなお増加している傾向にあります。
ではどうすればこのような無駄なSES企業がなくなるのでしょうか?
そう簡単なことでは無いかもしれませんが、私はITエンジニアや企業などIT業界全体、もっといえば国として考えていかないといけないものではないかと思っています。
例えば、人材紹介や派遣事業を行うためには、免許が必要です。それと同様に業務委託で人を紹介するためにも免許を必要とするようにするのは一つの解決さくにはなりえるでしょう。
これまでの企業の実績や規模などを含め十分に審査し、それをクリアした企業のみ業務委託で紹介できる環境にすれば、少しは減るのではないかと思います。
またそれと同時に、今働き方として一般的になっているフリーランスなどの働く側の法整備も行い、エンドユーザー企業とフリーランスとが直接契約しやすい環境を作るなど、SES企業を挟まずともフリーランスエンジニアなどが柔軟に働きやすい環境へと変えていくべきでしょう。
もちろん直近でどうこうできる問題ではないかもしれませんが、ここを解決しないといつまでも無駄なSES企業が増え続け、さらに多重下請け構造が助長され、ITエンジニアの低年収が続いていくことは明白です。
とはいえ国として動くには時間がかかりますので、まずはIT業界全体で人材と案件のマッチングにおいて、人材側と企業側は高い意識を持って行う必要があります。
ただ単に収入を搾取されていないか?このSES企業を間に入れる必要があるのか?など常にアンテナを立ててマッチングを行うのが良いでしょう。
ITエンジニアなどIT人材は今後より重要で、さらにはフリーランスという働き方も増えている以上、IT業界にある環境や法整備などなるべく早めに考えなければなりません。
またIT業界の衰退は、日本の衰退につながります。日本の発展のためにの今一度国で検討してほしいものです。
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最後に
IT業界にはIT人材不足やITエンジニアの低年収など様々な課題があります。
無駄なSES企業の存在は、多重下請け構造を助長していますので、これらの課題の原因になっているともいえるでしょう。
その為、無駄なSES企業を無くす・減らすことはIT業界全体としての課題でもあります。
すぐに解決できない問題だからこそ、ITエンジニアとして無駄なSES企業に収入を搾り取られない対策が必要になってきます。
ぜひこの記事を参考にし、今後の企業選びや企業選択に役立ててください。