SES交流会の実態とIT業界やITエンジニアに与えるマイナスの影響とは?

BUSINESS IT・テクノロジー

SES業界で頻繁に行われている『SES交流会』。

実際にこのSES交流会に参加してみて、「ITエンジニアやIT業界に大きくマイナスの影響を与えているな」と強く感じました。

今回は、SES交流会に参加した実体験を元に、SES交流会の実態やSES交流会がもたらす負の影響とは何かについて解説していきます。

SES交流会とは?

まず、そもそもSES交流会とは何かについて簡単に説明します。

SES交流会とは、SES事業を行っている企業で主に営業として従事している人が参加し、SES企業のビジネスパートナーを増やすための交流会です。

もう少し具体的に言うと、将来的に『抱えている人材が参画できる案件』や『抱えている案件に参画できる人材』を獲得できる環境を作るために、人的ネットワークを広げるための会です。

交流会の規模は様々で、10名くらいの小規模で行うものから100名近い大規模で行うものもあります。

大体2時間ほどの交流会となっており、基本参加費が掛かるものが多いです。100名規模のものであれば、3,000円~5,000円(税込)が相場となっています。

100名という大規模でも十分人が集まっており、SES業界では人気のあるビジネスイベントです。

SES交流会ですること

実際にSES交流会ではどういう事をしているのかと言うと、お酒を飲み軽食をつまみながら、名刺や情報を交換し、ただお話をするだけです。

イベントによっては、何かしらの企画が準備されていますが、基本お遊びの企画です。

そして、SES交流会に参加した次の日に交換した名刺を元に連絡をし、人材や案件の情報を配信する用の配信リストに加えます。以上が、SES交流会中にすることとその後にすることです。

要は、SES交流会とは、SES企業同士を繋げるだけのビジネスイベントなのです。

案件を紹介してもらう側のITエンジニアの方達は、SES企業が案件を獲得するためにこんなことが行われていることをしっかりと理解しておきましょう。

SES交流会の実態、メリットは?

ではSES交流会にメリットはあるのでしょうか?

SES交流会は、SES企業同士の繋がりを作るためのイベントですので、もしこの交流会によって人材と案件のマッチングが決まってしまった場合、最低2社が商流に入るという事になります。

その為、人材側であるITエンジニアの報酬は下がる可能性が高く、案件側のエンドユーザー企業は発注単価とスキルにギャップのある人材が参画してくる可能性がある。ということになります。

実際に働くITエンジニアや発注したエンドユーザー企業にとっては何のメリットも生まれません。

そして、IT業界の課題であるITエンジニアの低年収や多重下請け構造を助長している形になっており、IT人材不足を加速する原因にもなりかねません。

要は、IT業界に対しても何のメリットもありません

つまり、SES交流会によるメリットはマッチングが出来たSES企業だけにしか生まれないのです。

そして、SES交流会はSES企業による非常に『自己中心的』な交流会であることが分かります。

ちなみに案件も人材も自社でしっかり獲得できる営業力の高いSES企業は、あまりこういったSES交流会に参加していない印象にあります。

営業力の弱いSES企業が手っ取り早くネットワークを広げるためだけにSES交流会に参加し開催されているのです。

SES交流会により助長されるIT業界の多重下請け構造

それでは、SES交流会によって生まれるマイナスの影響について具体的に解説していきます。

先ほども説明したようにSES交流会は、SES企業同士が繋がる為だけのイベントです。SES企業同士が人材と案件のマッチングに至った場合、2社の商流を挟むことは確実です。最低2社です。

もし、案件側のSES企業が、その案件情報を別のSES企業から得ていた場合、商流は3社の企業が挟むことになります。

つまり、3社4社と商流を挟んだ『多重下請け構造』の状態で、マッチングが成立していることも十分に可能性としてはあります。むしろその可能性の方が高いでしょう。

そして、SES交流会はこれを助長しているのです。

SES事業は、エージェント事業とも呼ばれます。であれば、営業力を活かし案件や人材情報を獲得するべきですが、その営業努力をせず、簡単にネットワークを広げられるSES交流会に頼ってしまっているのです。

SES交流会に参加する時間があるのであれば、エンドユーザー企業から直接案件を獲得するための努力をするべきでしょう。

SES交流会により助長されるその他の課題

多重下請け構造は、その他ITエンジニアの低年収などの課題にも影響しています。

つまり、SES交流会によってこれらの課題も助長されているのです。

SES交流会は、SES企業には人気のビジネスイベントですが、IT業界で考えれば負のビジネスイベントと言っても過言ではないでしょう。

見方を変えれば、SES交流会に参加したことで仕事に就くことができたITエンジニアの方もいるかもしれません。

しかし、それはただのSES企業の努力不足や営業力の問題でしかありません。むしろ、単価の低い案件しか紹介できない自社の問題を改める必要があるでしょう。

このように、SES交流会は多重下請け構造をはじめ、IT業界にある様々な課題を助長しているビジネスイベントです。

一刻も早く無くなるべきイベントなのです。

SES交流会の改善ポイント

正直SES企業同士が繋がることは、必ずと言って良いほど多重下請け構造を助長することに繋がりますので、改善するのではなく、そもそもそれを促進する可能性の高いSES交流会自体を開催しないべきだと思っています。

ただ、SES企業単体で考えれば効率の良いイベントですし、こういったイベントを中止することは出来ないでしょう。

その為、そもそもこのSES交流会をしないとやっていけないようなSES企業が増えないように、SESというビジネスに対して免許制などの制限を設けるなどの対策が必要ではないかと思います。

多重下請け構造は、低年収など様々な課題を生む原因にもなりますので、IT業界単体ではなく国として考えなければいけない課題でもあるでしょう。

そして、もちろん当事者であるSES交流会に参加するようなSES企業自身も今一度考えるべきではないかなと思います。

自社が効率よく利益を得られれば、発注側も人材側もそして業界全体もどうでも良いという考え方は改めて欲しいように思います。

最後に

SES交流会は、実際に働くITエンジニアや発注をしているエンドユーザー企業、そしてIT業界全体で見ても『』の存在と言っても過言ではないでしょう。

SES企業同士が繋がることで、どこにどう影響を与えてしまっているのかを今一度考えて欲しいですし、SES企業を積極的につなげるための交流会は開催しないで欲しいなと強く感じます。

なかにはSES交流会によって繋がったことで、案件に参画が出来たITエンジニアもたしかにいるかもしれません。

ただこれは、そうまでしないと参画できる案件を紹介できなかったという営業力の無さだという事とイコールであることを理解するべきです。

SES業界で人気のビジネスイベントである『SES交流会』は無くすべきではないでしょうか?

そして、正社員で働くITエンジニアやフリーランスエンジニアの方は、決してSES交流会に参加するようなSES企業に案件の紹介を依頼しないように注意しましょう。