日本でテレワークがなかなか促進されない5つの理由

働き方 問題

現在コロナウイルスの影響によりテレワークという働き方が注目されています。ただこのテレワークは、2007年頃一度注目されている働き方です。

2007年1月には、「テレワーク人口の倍増」が施政方針演説で掲げられ、また同年6月の「経済財政改革の基本方針 2007」では「テレワーク人口倍増アクションプラン(2007年5月策定)」を推進し、2010年までに2005年対比でテレワーク人口の倍増を実現することが掲げられていました。

もちろん当時は今回のように何かの非常事態が影響している訳ではなく、少子高齢化に伴い「育児や介護」と「仕事」を両立できる環境の促進や環境問題への取り組みの一環などいった理由で策定されました。

しかし、国土交通省が調査した「平成22年度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-」によると2005年に比べ増加傾向にはあるものの倍増とはなっていないようです。

そして今、コロナウイルスの影響でテレワークという働き方が再注目されていますが、これは今もなおテレワークが日本で浸透していないからではないかと思います。

ではなぜ日本でテレワークが促進されないのか?浸透しないのか?

その理由を日本の企業や社会の考え方を元に解説していきます。

理由①:紙を重要視する考え方

多くの企業で紙を重要視しているケースが見受けられます。つまりプリンターを使用しなければ仕事が出来ない環境が多くの企業にあります

これではテレワークは推奨されません。

これだけIT技術が進歩しているのにも関わらず、今でも多くの企業がWebサービスなど何かを提案する場合、紙の資料を見せて紹介しています。また極まれに提案時に「PCの画面を開くな」と言う人もおり、必然的に紙の資料を必要とせざるを得ないケースもあります。

また契約書を締結する際に「紙の原本」を必要とするケースも多いです。

紙で資料を渡せば単純に紙やインク、印刷代が発生します。また渡された方も処分する手間がかかります。

テレワークという視点だけでなく、あらゆる面から見てもペーパーレス化を促進するべきメリットが多くあります

しかし今の日本では、まだまだ「紙」の資料や契約書が根強く残っているためテレワークを促進できない環境があります。

理由②:契約書締結時は捺印必須で電子印不可という考え方

今ではオンライン上で捺印が無くとも法律的に問題なく締結できるクラウドサービスが多くあります。しかし紙に捺印を求める企業が多く存在するのが日本の現状です。

たしかに契約を締結する際に「言った」「言ってない」といったことを避けるためにも捺印を求める理由が全くもって分からないという訳ではありません。

ただ捺印が無くとも法律上問題なく契約は締結できますし、メールのやり取り上で「同意」「不同意」などの意思表示があれば問題ないのではないかとも思います。

それでも不安なのであれば電子契約のクラウドサービスを使用すれば良い話です。

そうなればわざわざ出社して紙の印刷や捺印の対応をする必要はありません。そして印紙税も発生しないというメリットもあります。

もちろんクラウドサービスの利用に費用は掛かりますが、社員の交通費や印刷や捺印に掛かるコストを考えればそこまで大きいものではないでしょう。

しかしまだまだ日本の企業では、電子契約を断り捺印された紙の原本を求めるケースも珍しくありません。そのような捺印文化を今一度改めない限りテレワーク促進は難しいでしょう。

理由③:セキュリティーに問題があるという考え方

セキュリティーに関して考えることは非常に重要です。企業情報や個人情報など機密情報が漏れてしまえば、損害を被る可能性があります。そのため十分に注意しなければならないポイントです。

そしてそれら重要な情報が置いてあるサーバーやクラウドサービスには、社内ネットワークでしかアクセスできないという対策を取っている企業も少なくは無いと思います。

また無料Wi-fiなどを使ったサイバー攻撃もあるためより注意が必要です。

だからと言ってテレワークが出来ない訳ではなく、セキュリティー対策がきちんとされていれば概ね問題ありません

例えば社用PCなどの端末にはもちろん、重要な情報を含んでいるサーバーやクラウドサービスにログインするためには、顔や指紋などの生体認証やワンタイムパスワードといった「多要素認証」を導入し対策することが出来ます。

また無料Wi-fiなど社内以外のネットワークを使用する際は、VPNなどを活用し通信を暗号化することでリスクを低減することが出来ます。

ただ事前に無料Wi-fiの利用は原則禁止などの規則は設けておくべきでしょう。

このようにセキュリティー対策をすれば重要な情報を扱う場合でもテレワークを進めることが出来ます。

実際現在ほどのIT技術が無い10年以上前からテレワークを導入している企業はあり、テレワークにより情報漏洩したというニュースもほとんど聞いたことが無いと思います。

また社用PCなどの端末を必要があれば家に持ち帰っても良いという企業もあると思います。通勤中などにそれらを忘れたり盗まれるリスクを考えればテレワークの方が安心という捉え方も出来ます。

コロナウイルスの影響以前に、このようなセキュリティー対策はしていくべきだと思いますし、コロナウイルスの影響がある今だからこそ、今一度考える必要があるでしょう。

理由④:人事評価が難しいという考え方

働いている姿が実際に見えない為、仕事に対しての評価が難しいのは評価の仕方自体に問題があるような気がします。

これが起こる原因は、社員一人一人のタスクの共有が出来ていないからです。

いつまでに何をどこまでするのか?」や「目標に対して何をどの量こなしていくのか?」など把握が出来ていればその進捗に対してきちんと評価が出来ます

「遅くまで頑張っているから」などと言った表面だけで評価しているから、評価が出来ないと思い込んでいるのです。

その場合はテレワーク以前に企業自体のことも考えて評価の見直しをするべきでしょう。

進捗や成果に対して評価が出来る環境になれば、テレワークであっても人事評価に影響を与えることは少ないでしょう。

理由⑤:コミュニケーションが取れないという考え方

仕事上コミュニケーションが必要と言う考え方をする人も多いでしょうし、チームで仕事をしている人であればなおさらそのように考えるかもしれません。

しかしチームで仕事をする場合であっても、一人一人の仕事がきちんと切り分けられているのであれば、都度コミュニケーションを取る必要があるのかどうかは疑問です。

今ではWebサービスを活用し会議をオンライン上で行えるようになっていますし、仕事用のチャットツールも多くあり、コミュニケーションを取る事にそこまで大きな問題があるようには思えません。

最低限の連絡であればチャットツールを使えば十分ですし、必要があれば簡単にWeb会議を組むことも出来ます。

人事評価の理由と同じですが、一人一人のタスクが明確にされていればこの問題も解決できるのではないかと思います。

まとめ

これまで日本でテレワークが進まない理由を紹介しましたが、これらを解決するためにも経営層や従業員の意識変革はもちろんインフラ環境の整備など課題は山積みです。

働き方改革を進めるのであれば次こそは「テレワーク人口の増加」を成功に導いて欲しいですし、過去の失敗を元に何がダメだったのか考えて欲しいと思います。

2007年にテレワーク人口の増加を掲げた時は、安倍首相だった訳ので見直しするのに良い機会だと思います。(2007年途中に退任してはいますが…)

まずはコロナウイルス収束に対しての課題や対応が先決ですが、収束後にはこれらの課題にも取り組んで欲しいと願うばかりです。