日本でテレワークが普及しない理由と今後のテレワークの動きについて

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2020年、新型コロナウイルスの影響によりテレワークという働き方が一気に注目されていき、実際に多くの方がテレワークを経験してきました。

年が明け2021年、まだまだ新型コロナウイルスの脅威は衰えることなく、それにより継続してテレワークを実施している企業もあるでしょう。

また、今回を機に新型コロナウイルス関係なくテレワークをデフォルトの働き方として導入した企業も少なくありません。

このように、一見テレワークは急速に日本全国へ浸透したように感じる方も多いのではないでしょうか?

しかし、実際のところどうなのでしょうか?

私自身、テレワークが普及している印象はありません

なぜなら、東京都の通勤時の電車は相変わらず満員だからです。全国平均のテレワーク実施率25%という数字や東京都だけだと50%弱という数字を見かけますが、実感値としてこの数字には大きな乖離があるように思えます。

また、緊急事態宣言下の期間は、多少緩和されている印象はありましたが、緊急事態宣言が解除されるとコロナ影響以前のころの満員電車に戻ってしまいます。

つまり、テレワークを実施しようと思えばできるがしていない企業が多くあるという可能性は高いと思います。

では、なぜ日本でテレワークが普及しないのか?導入が進んでいかないのか?を解説していきます。

テレワークの歴史

まずテレワークの過去の実績について解説していきます。

テレワークは、20年以上前から認識されていた働き方でした。

ただ、今のような在宅ではなくサテライトオフィスを活用した働き方であり、また多くの人に注目されていた訳ではありません。

インターネットが普及しPCでの仕事が一般的になってくると次第にテレワークが注目されるようになり、そして、新型コロナウイルスの影響で大きく注目される前の、2007年頃に一度大きな注目を集めました
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007年1月に『テレワーク人口の倍増』が政府の施政方針演説で掲げられ、また同年6月の『経済財政改革の基本方針 2007』にて『テレワーク人口倍増アクションプラン(2007年5月策定)』を推進し、2010年までに2005年対比でテレワーク人口の倍増を実現することが掲げられていました。

当時は、新型コロナウイルス蔓延のような非常事態が影響している訳ではなく、少子高齢化社会への対策として『育児や介護』と『仕事』を両立できる環境の促進や環境問題への取り組みの一環などといった理由で策定されました。
しかし2020年、新型コロナウイルスの影響でテレワークという働き方が再注目されていることからも分かるように、目標は達成できておらず、テレワークを普及させることは出来ませんでした。

国土交通省が調査した『平成22年度テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-』によると2005年に比べ増加傾向にはあるものの倍増とはなっていないとの結果が出ています。

このように、日本では20年前以上からテレワークという働き方は認識されており、一度テレワークを普及させようとした過去があります。

しかし、上手く普及させることが出来なかった過去があります。

こういったテレワークの歴史を辿り、2020年より新型コロナウイルスの影響により強制的にテレワークをせざるを得ない環境になったことで、再びテレワークを普及させるための動きが行われています。

日本でテレワークが普及しない理由

過去にテレワークの普及を促したが失敗に終わった経験があったにもかかわらず、なぜ今回テレワークを普及させることに未だ思うような結果が出ていないのか?

そう思うとこはありますが、日本でテレワークが普及しない理由を解説していきます。

  • 紙文化とハンコ文化
  • 人事評価制度の課題
  • IT知識のある人の不足
  • 費用

理由①:紙文化とハンコ文化

IT技術が進んでいるにも関わらず、未だに日本には紙文化とハンコ文化の企業が多くあります

印刷作業や郵送作業、押印作業などとこれら文化があるが故に、社内でなければ行えない作業が発生してしまっています。

freee株式会社による、1~300名規模のスモールビジネス従事者1165人に対して行った『テレワークに関するアンケート調査第二弾』(実査日:2020年9月30日~10月1日)では、出社が必要となる理由のTOP5の中に、『取引先から送られてくる書類の確認・整理作業』や『行政から送られてくる書類の確認・整理作業』、『契約書の押印作業』の3つが入っており、紙文化とハンコ文化が根強くあることがよく分かります。

つまり、この2つの文化が電子に変わるだけで、テレワークが出来る人が増える可能性は高いことが容易に想像できます。

最近ではようやく政府が脱ハンコに向けて動いています。

ただ、これまで紙とハンコで管理していた企業はそう簡単に変えられるわけではありません。また、これは少数の企業だけが変えるだけでは意味がなく、多くの企業で改革を行わなければならない課題です。

紙文化やハンコ文化になれば、テレワークが進めやすいだけではなく、必要作業の削減や効率化、さらに印刷やインク、印紙等に掛かる費用の削減と様々なメリットが生まれますので、いち早く電子文化へ移行していくべきだと感じます。

紙文化やハンコ文化は、テレワークを推進していく上で大きな課題です。

理由②:人事評価制度

テレワークになることで、従業員の人事評価が難しいという問題があります。

コミュニケーションの不足により従業員の管理が難しく、また業務プロセスの把握が難しい環境が発生してしまっています。さらに、業務の電子化が進んでいないことなどの原因で、社内でテレワークが出来る職種とできない職種が発生し不公平感をもたらしてしまっています。

こういった環境があるためテレワークを前向きに検討できない会社も多くあるでしょう。

ただ、テレワークは今後多くの会社にとって当たり前の働き方になる可能性は高く、就職・転職先を決定する一要因にもなりえます。さらに優秀な人材を獲得するためには導入が必要不可欠です。

その為、コロナ禍である現在の状況に合わせてだけではなく、会社の将来性を高めるためにも人事評価制度を見直し、テレワークの導入に踏み切る必要性はあるでしょう。

単純にテレワークに合わせた環境整備や『成果主義』や『業務プロセス』などの目標設定に変えていくなどの適切な人事評価制度へ変えていくことは当然必要なことです。さらに、経営者や管理者等の人事評価をする側の意識改革や評価をされる側の従業員への教育も必要となる場合もあるかもしれません。

テレワークはまだまだ日本では初期段階で、仕事環境や評価制度など試行錯誤しながら進めていく段階ですが、すでにテレワークに合わせた環境へシフトしている企業も少なくないのも事実です。

適切なテレワークが導入できれば、会社や従業員の双方にとってメリットはあると思いますので、この機会に積極的に導入していく方向で進めていくことが重要でしょう。

理由③:IT知識のある人の不足

テレワークが進められない原因としてセキュリティやネットワークの課題があります。

機密情報が洩れないようなセキュリティ対策は必ず行わなければならないですし、それを実現させるためにVPN等を活用したネットワーク環境などのインフラ整備も必要不可欠です。

しかし、これらのインフラ整備や構築がネックになりテレワークの導入に難を示す企業も少なくありません。

当然、ネットワーク等の影響で作業の遅延やセキュリティ対策が不十分で情報漏洩等があっては、企業の損失に繋がる可能性が高いため、これらの整備や構築は非常に重要なことです。

ただ、新型コロナウイルスの影響がある以前からテレワークを導入していた企業もありますし、今テレワークを積極的に導入している企業もあるなど、適切なインフラ整備ができている企業はあり、さらに、ゼロトラストネットワークやVPNなど様々なリスクを軽減するためのセキュリティ対策を構築できるものどんどん出てきています。

どういった情報をどういった技術を活用し守っていくのか?

この設計ができるようなIT知識のある人材が社内に居ればインフラ整備や構築を進めるハードルも下がってくるでしょう。

このようにテレワーク導入の大きな課題であるセキュリティ対策やネットワーク環境の構築などインフラ整備は、それらに掛かる費用面という課題だけではなく、IT知識のある人材不足も課題として挙げられます。

今ではIT人材は正社員等で採用せずともフリーランスの活用など社外人材を活用するなど、ITリソースを確保することは容易に行えますので、適切な手段をとりテレワークの導入を進めていく事をおすすめします。

理由④:費用

これまで紹介してきたテレワークが普及しない理由を改善していくためには、そこに対しての投資は必ず発生してきます。

その為、そもそもこの資金がなければテレワークを進めたくても進められません。

このテレワークに投資できる費用不足によって、なかなか進められない企業も多くあるでしょう。

ただ反対に、テレワークを導入することでオフィスの管理費や従業員の交通費など削減できる費用もありますし、将来的に恩恵をもたらしてくれる可能性もあります。

もちろん全く費用が無いのであれば仕方がないですが、捻出できる費用があるのであれば単純に掛かる費用のことだけを考えるのではなく、テレワークを導入した場合の投資対効果を元に導入していくべきかどうかを判断していくべきでしょう。

また、国や地方、自治体によってはテレワーク助成金制度などを提供しているところもありますので、それらを活用していく方法もあります。

費用の課題はどうしようもない場合もありますが、今後当たり前の働き方になる可能性は大いにあり、投資対効果を考えればすぐに進めるべき制度である可能性も高いですので、助成金や融資などを活用しテレワークの導入を積極的に進めていく事をおすすめします。

今後テレワークが普及していく可能性

これまで日本でテレワークが普及しない理由を解説してきましたが、今後はどうなのでしょうか?テレワークが当たり前になる未来はくるのでしょうか?

正直、今の状況であればテレワークが普及していく可能性は低いと思います。

ちなみにあしたのチーム(東京都中央区)が実施した調査によると『一般的にテレワークが定着するかどうか』の問いに対して『定着しない』と回答した人が約40%ほどとなっています。

テレワークをしていない人だけではなく、テレワークをしている人であっても様々な課題を感じ定着しないと回答しているのです。

つまりテレワークを普及させるためには、先ほど紹介したテレワークが普及しない理由を改善していくだけでなく、実際にテレワークを実施した場合に発生するそれ以外の課題も解決していかなければなりません。

また、2007年に政府がテレワークを普及させるため動いたにも関わらず思ったような結果が出ていないこと、そしてそのチャンスが再度到来したにも関わらず、未だ多くの企業に普及させることが出来ていない状況であることも考えるとより難しいのではないかと感じます。

テレワーク実施前の課題テレワーク実施後に発生する課題

これら多くの課題がある状況に対して、今の政府がそれら解決に導いてくれるかどうかを考えると、やはり難しいとしか言えないでしょう。

そして、いつまでも企業頼みであれば、2007年の失敗と同様の結果になる事は間違いないように思えます。

テレワークを普及させるためには?

ではテレワークを普及させるために必要なことは何なのでしょうか?

やはり重要なのは国の動きだと思います。

例えばアメリカでは、2010年に『テレワーク強化法』を策定し国としてテレワークの導入を推進しています。

結果、2015年に『WorldatWork』によって発表された統計では、アメリカのテレワークの導入率は85%という高い導入率となっています。

このように、アメリカで既に高い実績を誇る事例がありますので、これを見習って日本仕様で進めていくべきだと思います。

今回の新型コロナウイルスの影響によってテレワークが多くの企業で実施されたことやこの状況であってもテレワークを導入できなかったことなど様々な課題も見えてきているはずですので、将来的にこれを活かしていくことで、日本でのテレワークの普及を後押しすることは可能なのではないでしょうか?

また、今テレワークを導入し、新型コロナウイルスの影響が少なくなった後でもテレワークを一般的な働き方として導入していく方向で考えている企業の多くはコロナ禍であっても高い実績を出せている企業や大手の企業です。

今後テレワークで成功した前例が増えてくれば、その他の企業でのテレワークの普及の後押しにもるかもしれません。

いずれにせよ、数年先にテレワークという働き方が当たり前の環境にするためには、国の動きが必要不可欠でしょう。

まとめ

これまで日本でテレワークが普及しない理由を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

日本でテレワークを普及させるための課題はまだまだ山積みです。そして、これらの課題を解決していくためには企業の様々な体制を変えていくだけではなく、国の後押しも欠かせないでしょう。

ただ、国の後押しが無くともテレワークを積極的に導入している企業も多くあることも事実ですので、国の政策を待つのではなく、企業として前向きにテレワークを導入することを考えることはしていかなければならないでしょう。

未だ新型コロナウイルスの影響が続き、仮に収束したとしても経済への影響の爪痕は大きいと思いますので、政府としても対応すべき優先事項はこれらを解決していくことです。

国全体のテレワークが普及していくことはもう少し先の話かもしれませんが、将来的にそうなることを願います。